2015年 春期 応用情報技術者試験 問5

DHCPを利用したサーバの冗長化

P社は,社員100名の調査会社である。P社では,インターネットから様々な情報を収集し,業務で活用している。顧客との情報交換には,ISPのQ社が提供するWebメールサービスを利用している。Webの閲覧や電子メールの送受信などのインターネットの利用は,全てプロキシサーバ経由で行っている。

現在のP社のネットワーク構成を図1に示す。

注記 P社のネットワークアドレスは192.168.0.0/16で,DHCPサーバがリースするIPアドレスは,192.168.0.1~192.168.0.254の範囲である。また,サーバには,192.168.10.1~192.168.10.4のIPアドレスが設定されている。FW:ファイアウォール,L2SW:レイヤ2スイッチ

部署1のPCはプロキシサーバ1を,部署2のPCはプロキシサーバ2を経由してインターネットを利用している。PCは, DHCPサーバから,自身のIPアドレスを含むネットワーク関連の構成情報(以下,構成情報という)を取得して自動設定している。ただし,使用するプロキシサーバと社内DNSサーバのIPアドレスは,あらかじめPCに設定されている。プロキシサーバ1,2は,優先DNSとして社内DNSサーバを,代替DNSとしてQ社のDNSサービスを利用している。

先般,プロキシサーバ1に障害が発生し,部署1で半日の間インターネットが利用できなくなり,業務が混乱した。この事態を重視した情報システム部のR課長は,ネットワーク担当のS君に,次の2点の要件を満たす対応策の検討を指示した。

・プロキシサーバとDHCPサーバを冗長構成にして,サーバ障害発生時のインターネット利用の中断を短時間に抑えられるようにすること。 ・費用をできるだけ抑えられる構成とすること。

〔冗長化方式の検討〕

S君は,PCの構成情報を自動設定するためのDHCPの仕組みに注目した。

同一サブネットに2台のDHCPサーバがあっても,PCによる自動設定は問題なく行われるので,DHCPサーバを2台導入して冗長化する。

PCは,使用するDNSサーバのIPアドレスをDHCPサーバから取得できる。そこで,DNSサーバとプロキシサーバを2台ずつ導入して,2台のDHCPサーバからそれぞれ異なるDNSサーバのIPアドレスを取得させるようにする。そして,2台のプロキシサーバに同じホスト名を付与し,それぞれのDNSサーバのレコードに,プロキシサーバのホスト名に対して,異なるプロキシサーバのを登録する。

この構成にすれば,どちらのDHCPサーバから取得した構成情報をPCが自動設定するかによって,使用するDNSサーバが変わる。そこで,PCのWebブラウザの設定情報の中に,プロキシサーバのを登録すれば,PCが使用するプロキシサーバを変えることができる。

DHCPサーバによる構成情報の付与シーケンスを図2に示す。DHCPメッセージは,OSI基本参照モデル第4層のプロトコルで送受信される。

注記1 シーケンスは,PCが,先に受信した提案を受け入れるという仕様に基づいている。
注記2 ●は,PCが送出するフレームが一つであることを示す。

S君はこのようなDHCPとDNSの仕組みを利用し,DHCPサーバ及びプロキシサーバの冗長化を実現することにした。

〔DHCPサーバとプロキシサーバの冗長化〕

PCでのインターネット利用の中断を避けるためには,PCがDHCPサーバから取得したIPアドレスをもつDNSサーバと,そのPCがDNSサーバで取得したIPアドレス

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午後問題 問5