[クラウドサービス移行案の策定] F課長は,D社の営業部長からクラウドサービスの内容について説明を受けた。クラウドサービスは,SaaS,PaaS,IaaSの三つのサービス形態があり,それぞれのサービス形態に,パブリッククラウドとプライベートクラウドの二つの提供形態がある。そこで,F課長は既存の業務システムをクラウドサービスに移行する場合,各サブシステムに対して,D社のクラウドサービスの最も適切な利用形態(サービス形態と提供形態の組合せ)を検討し,その結果をクラウドサービス移行案とすることにした。
[クラウドサービスの利用形態の選定手順] F課長は,クラウドサービスの利用形態を選定する手順を図1のように決定した。
[D社クラウドサービスの概要] 表1と表2は,それぞれ,D社の説明を基にF課長がまとめた,サービス形態の概要と提供形態の概要である。
F課長は,クラウドサービスへの移行費用や5年間の運用費用などを合計してサービス形態ごとのC社での費用を試算したところ,IaaSが最も高価で,SaaSが最も安価になることが分かった。
[クラウドサービスの選定に向けた検討] F課長は,D社の説明を基に,サブシステムごとにクラウドサービスの利用形態を決定するために,既存の各サブシステムの概要を,表3にまとめた。
F課長は,表3と表4を照らし合わせ,各サブシステムとシステム要件の対応を表5にまとめた。
[クラウドサービスの利用形態の選定] F課長は図1に基づき,クラウドサービスの利用形態をサブシステムごとに選定した。サブシステムごとの利用形態を次に示す。 ・事務支援サブシステムについては,D社提供の市販ソフトウェアに置き換えることができるので,他の利用形態よりもコストが安いSaaSのパブリッククラウドを選定する。 ・保険計上サブシステムは,保険会社とのデータ連携機能を含め,ベンダに委託して開発したアプリケーションを利用している。D社クラウドセンタ外の保険会社のシステムとのデータ連携をシステム要件とすることから,IaaSのプライベートクラウドを選定する。
表6は,F課長がクラウドサービスの利用形態を選定した結果である。
[仕様の変更] F課長がサブシステムごとにクラウドサービスの利用形態を選定した後に,合併後の営業社員の給与制度を業績連動型に変更することになった。そのため,販売管理サブシステムで管理されている営業社員の契約状況を利用して給与を計算するというシステム仕様の変更が必要となり,F課長は,D社が提供している市販ソフトウェアをカスタマイズして使用することにした。
F課長は,給与計算の仕様を変更したクラウドサービスの利用形態の選定結果を,E部長に提出した。ここで,複数の利用形態が選択可能であったので,費用が安価な利用形態を選択した。
D社クラウドサービスの内容について,適切なものを解答群の中から全て選び,記号で答えよ。
表5中のaからdに入れる適切な記号を,"○"又は"×"で答えよ。
表6中のeとfに入れる適切な字句を,表1のサービス形態,表2の提供形態の名称で答えよ。
(1) F課長が仕様を変更したサブシステムの名称と,選択したクラウドサービスの利用形態(サービス形態と提供形態)を,本文中の名称で答えよ。
(2) (1)のクラウドサービスの利用形態を選択した理由を30字以内で述べよ。