2009年 春期 応用情報技術者試験 問6

注文管理システムの設計と実装

S 社は,園芸用品の製造及び販売を行う中堅企業である。顧客である農家やホームセンタから電話やファックスで注文を受け,注文管理システム(以下,現行システムという)で管理している。現行システムの機能概要を表1に,E-R図を図1に示す。

表1 現行システムの機能概要
機能名概要
顧客管理顧客番号,顧客名,住所,電話番号,ファックス番号を登録,変更する。
商品管理商品番号,商品名,標準単価,商品説明を管理する。標準単価や商品説明は定期的に見直され,更新される。
注文管理注文を受けると,在庫数量を確認した上で,注文日,顧客番号,担当社員番号,商品番号と数量及び販売単価を登録する。各商品の販売単価は,商品管理機能で照会できる標準単価を参考に,担当社員の裁量範囲内で決められる。
出荷指示注文情報から,注文番号ごとに商品番号と数量を一覧にした出荷指示書を作成する。
注:属性名の実線の下線 _____ は主キー,破線の下線 ----- は外部キーを示す。主キーの実線が付いている属性名には,外部キーの破線を付けない。

新注文管理システムについて

近年,家庭菜園やガーデニングの流行などによって,園芸用品の個人需要が高まってきた。そこで,販売力強化と顧客満足度向上を目的に,次の機能強化を行った新注文管理システム(以下,新システムという)を開発することになった。

(1) セット商品の導入

目的別に複数の商品を組み合わせたセット商品を導入する。さらに,単品で商品を購入しようとしている顧客に,その商品が含まれているセット商品を案内することによって,セット商品を購入するように誘導し,顧客単価の向上をねらう。

セット商品も,通常の商品と一緒に商品エンティティに登録する。両者を区別するために商品エンティティに属性"セットフラグ"を追加し,通常の商品の場合は"0"を,セット商品の場合は"1"を設定する。そして,セット商品エンティティを追加し,セットに含まれる商品の商品番号とその数量を管理する。

(2) 新モデルお知らせ機能の追加

毎年新しいモデル(以下,新モデルという)が出る商品では,その履歴を管理し,顧客が古いモデルの商品を発注しようとした場合に,アドバイスする機能を追加する。具体的には,図2のような注文確認画面を設け,担当社員が注文内容を確認するとともに,備考欄のような表示で,新モデルがあることを知ることができる。

さらに,注文明細一覧の各行末にある"詳細情報"ボタンから,各商品の詳細な情報を照会することができ,新モデルに関する情報もそこから照会できる。

<注文確認>

注文番号:ODR001  注文日:2009-04-20
顧客番号:C0001   顧客名:ホームセンタXYZ
担当社員番号:95000  担当社員名:山田 太郎

注文明細番号商品番号商品名数量販売単価(円)金額(円)備考
1000AIS034スコップ21,2002,400新モデルあり詳細情報
1000BIG045赤土105005,000詳細情報
1000CIF008農薬器132,00032,000詳細情報

 
図2 注文確認画面の例

なお,注文内容の確認時点では,まだ注文が確定していないので,確定した注文との区別がつくように,注文エンティティに属性"仮登録フラグ"を追加する。このフラグが"1"の場合は確認中の注文,"0"の場合は確定した注文と定義する。

新システムのE-R図を図3に示す。図3中のacには,図1中のacと同一のものが入る。

現行システム及び新システムでは,E-R図のエンティティ名を表名,属性名を列名にして,適切なデータ型で表定義した関係データベースによって,データを管理する。

出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午後Ⅰ 問6