M&A戦略に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。 X社は、飲料事業を営む会社であり、発酵技術を基盤として発展してきた企業グループに属している。企業グループは、持株会社を親会社とし、酒類、飲料、化学品、医薬品のそれぞれを製造し、販売する四つの会社が、コアの事業会社である。 持株会社の経営陣は、今後の中長期戦略を検討した。その過程で、どの事業に投資するかを決めるために、商品や事業の市場における位置付けを分析する手法である【a】を使って分析した。その結果、飲料事業に積極的に投資していく方針を決定し、飲料事業の拡大を早期に実現するために、飲料業界の他社とのM&Aの可能性をX社とともに検討した。そして、合併の候補先を数社挙げ、その中から合併の効果が最も高いと見込めるY社を選定した。

〔合併効果の検討〕 X社及び持株会社の経営陣は、まずX、Y両社の分析を行った。 (1)X社の分析 お茶、コーヒー、炭酸飲料を製造し、販売している。東日本の流通チャネルに強みがあるが、西日本では弱い。乳酸菌飲料や健康飲料はもっていない。 (2)Y社の分析 乳酸菌飲料から発展してきた飲料メーカで、お茶、乳酸菌飲料、健康飲料を製造し、販売している。全国展開しており、特に西日本の流通チャネルに強みがある。健康飲料の売上が好調である。最近、新商品を発表したお茶の販売に注力している。 次に、合併した場合の分析では、①規模の経済性、範囲の経済性、経営資源の補完性、財務面などによるシナジーが見込める一方、②カニバリゼーションが起こる懸念があることが分かった。 合併効果を更に詳細に検討した結果、マイナス要素もあるがプラス要素が非常に大きいので、X社及び持株会社の経営陣は、Y社との合併を進めることを決定した。

〔合併方法の検討〕 当初、X社及び持株会社の経営陣は、M&Aの方法として③TOBを検討していたが、Y社の経営陣と話し合った結果、Y社を吸収合併することにした。Y社との基本合意後、④詳細な企業情報の入手、既開示データの信ぴょう性の確認、未開示又は未認識リスクの確認、買収額算定のための基礎情報収集などを行ってY社の状況を調査した。その後、合併契約を締結し、合併時のX社の会計処理方法を図1のとおりとした。

表1 合併前のX社とY社の貸借対照表(抜粋) xxxx年3月31日現在(単位:億円) 表2 その他の必要情報(抜粋) xxxx年3月31日現在 表3 折衷法による企業価値の算定 (単位:億円) さらに、合併比率0.8を算定し、交付株式数を算出した結果、交付株式数は【d】株となった。 また、Y社の資産の時価、負債の時価及び純資産の時価を基に、「のれん」を計上し、パーチェス法による会計処理を行った。その結果、合併後のX社の貸借対照表は、表4のとおりとなった。 表4 合併後のX社の貸借対照表(抜粋) xxxx年4月1日現在(単位:億円)