【A社の事業とシステムの現状】 A社は,D県に本社を構え,関西地方を中心に200店舗を超える多様な業態のレストラン,居酒屋,カフェテリアなどを展開する外食産業である。全店舗のうち,年中無休や24時間営業の店舗が7割を超えている。国内外の契約農場から食材を調達し,いち早くトレーサビリティの管理を徹底してきた。商圏ごとにある二つの調理センタは,調達,製造,物流などの機能を兼ね備えている。徹底した店舗運営管理によって低価格・高品質を実現し,外食産業全体が低迷している中でも業績は堅調である。社長は,関東地方に進出して2年間で店舗数を2倍にする構想をもっている。 A社では,複数のサブシステムで構成される情報システム(以下,A社システムという)が年中無休で連続稼働している。A社システムのサーバ機器類は,本社から車で10分程度のB社のデータセンタ(以下,B1センタという)に設置され,ハウジングサービスを受けている。図1に,A社の飲食事業スキームを実線で,A社システムを破線で表す。

設問1 A社の企業活動と整合性を保つ観点から,A社が,将来,今回策定したBCPを見直す要因になる事項を,本文から40字以内で述べよ。

【目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)の設定】 A社システムが全面停止しても,調理センタ内の設備,体制が正常であれば,手作業で代替して一部の業務を継続することは可能であるが,早急にシステムの復旧が求められる。業務再開までに必要な作業手順及び実行時間は,次のとおりである。最初に(1)を実行し,その後は(2)と(3)を並行して実行することができる。 (1) 緊急対策本部判断(本部の設置,BCP発動判断):20分 (2) 業務再開準備作業(代替業務開始準備作業を含む):70分 (3) システム再開作業((1),(2)は順番に行わなければならない) ① システム再立上げ作業:aの分 ② データ復旧作業(バックアップデータからの復旧~データ再入力):50分 X部長は,システム部の検討結果を受けて,業務のRTOを100分,システムのRPOを120分と設定した。

設問2 〔目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)の設定〕で,A社システムが全面停止に至った場合の調理センタのBCPについて,(1),(2)に答えよ。 (1) 業務のRTOを達成するために,システム再立上げ作業を何分以内で実行する必要があるか。aに入れる適切な数値を答えよ。 (2) 加工済食材の受注業務を再開するために,バックアップデータからの復旧後,システム停止前の各店舗からの加工済食材発注データを問違いなく再入力する必要がある。データ再入力の前に実施すべき事項を,解答群の中から選び,記号で答えよ。

設問3 本文のb,cに入れる適切な字句を,解答群の中から選び,記号で答えよ。

設問4 重大な災害発生時のバックアップセンタへの移行について,(1),(2)に答えよ。 (1) B2センタへの移行時に発生する,緊急対策本部判断時間,業務再開準備作業時間,システム再立上げ作業時間,及びデータ復旧作業時間のほかに,B2センタに関して考慮すべき時間は何か。25字以内で述べよ。 (2) 策定したBCPに従って訓練を行う目的として適切なものを,解答群の中から三つ選び,記号で答えよ。