E社は,英会話教室や料理教室などのカルチャースクール向けにSaaSを提供する会社である。E社のサービスは,画面デザインやシステム機能を顧客向けにカスタマイズできる点が人気を集めており,約100社の顧客が利用している。E社のサービスを提供するシステムには,顧客向けのカスタマイズを容易にするために,システム機能の部品化による高い再利用性が求められている。 E社では,ビジネス拡大を目的としてスポーツクラブ向けの施設利用状況管理サービスを提供することになった。施設利用状況管理サービスを提供するシステム(以下,新システムという)の開発は,E社開発部のF君が担当することになった。 [新システムの概要] 新システムは,会員管理機能,利用管理機能,利用状況集計機能の三つの機能を提供する。会員管理機能は,会員の氏名や連絡先などの情報を登録・更新・削除する機能である。利用管理機能は,スポーツクラブの店に設置する受付機を用いて,会員の利用施設や利用開始・終了日時などの施設利用実績を記録する機能である。利用状況集計機能は,各施設の利用状況を集計してレポート出力する機能である。 [新システムのプログラムの開発方針] F君は,E社のサービス提供方法を考慮したプログラムの開発方針を策定し,上司の承認を得た。F君が策定したプログラム開発方針を図1に示す。 ・顧客向けのカスタマイズが容易となるように,また,特定モジュールへのカスタマイズが他のモジュールに与える影響が最小となるように,モジュール分割を行う。 ・特定顧客向けに開発したモジュールが他顧客にも利用できるように,共通機能をモジュール化し,モジュール強度を高め,モジュール結合度を下げる。 図1 プログラム開発方針 [モジュール分割手法の選定] F君は,新システムのモジュール設計を行うに当たり,モジュール分割手法の調査を行った。モジュール分割手法には,データを処理するトランザクションに着目して一連の処理をトランザクション単位にまとめてモジュールに分割するa,データの流れに着目してデータの入力・変換・出力の観点からモジュールに分割するb,データ構造に着目して入力データ構造と出力データ構造の対応関係からモジュールに分割するcなどがあることが分かった。 F君は,新システムは,会員の施設利用実績データを蓄積し,それを集計した結果をレポート出力するので,cが最適な手法であることを調査報告書にまとめ,上司の承認を得た。

設問1 本文中のaからcに入れる適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。

設問2 図3中のd,eに入れる適切な字句を表1中の字句を使って答えよ。

設問3 図4中のf,gに入れる適切な字句を20字以内で答えよ。

設問4 [利用状況集計機能のモジュール分割]について,(1),(2)に答えよ。

(1) 図5中の②の破線の下の処理を複数の施設の利用状況出力処理で共通して利用するモジュールとする場合,モジュールの結合度は何結合となるか,解答群の中から選び記号で答えよ。

(2) 図5中の処理をプログラム開発方針に従って,モジュール強度を高め,モジュール結合度を下げるようにモジュール分割するとき,最適な分割を図5中の①〜④の番号を用いて答えよ。また,その理由を40字以内で述べよ。